みなさん、新年度の新しい生活は、出会いや期待で胸が膨らむ反面、慣れない環境や人間関係への不安もありますよね。
実は、この変化に対応するストレスが原因で、「五月病」と呼ばれる状態になることがあります。
五月病とは一体どんな状態なのでしょうか?詳しく解説していきます。
五月病の定義とは
実は「五月病」は正式な病名ではありません。4月~5月の連休の頃に新しい環境への適応が難しくなり、心身に様々な不調が現れる状態を指します。
医学的には、「適応障害」と診断される場合が多いです。適応障害とは、特定のストレス要因が原因で、情緒面や行動面に症状が現れる精神疾患です。新しい学校、職場、人間関係など、変化の多い新生活は、誰しもにとって大きなストレスとなる可能性があります。適応障害は決して特別なものではなく、多くの人が経験する可能性のあるものです。
ただし、五月病つまり適応障害を放置すると、うつ病に移行する可能性もあります。うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下が長期間続く深刻な病気です。早期発見・早期治療が重要ですので、少しでも気になる症状があれば、早めに医療機関に相談することが大切です。
なぜ五月病になるのか?
五月病の主な原因は、環境の変化によるストレスです。進学、就職、転勤など、生活環境が大きく変化すると、私たちの心身は大きな負担を強いられます。そして、一旦連休でリラックスするつもりが、リスタートが切れず、重だる~いモヤモヤした気持ちになりがちです。
例えば、初めての一人暮らしでは、慣れない家事や孤独空間に戸惑うかもしれません。新しい職場では、人間関係の構築や仕事のプレッシャーに悩むこともあるでしょう。このようなストレスが積み重なり、五月病の引き金となるのです。
体と心の変化:自律神経の乱れとホルモンバランス
ストレスは、私たちの体にいろんな影響を及ぼします。呼吸、消化、体温調節など、生命維持に不可欠な機能をコントロールするという重要な役割がある自律神経が乱れやすくなります。
この自律神経のバランスが崩れると、不眠・疲労感・食欲不振・動悸・めまい・倦怠感など様々な身体症状が現れます。
さらに、ストレスによってコルチゾールというホルモンの分泌が増加します。コルチゾールは、ストレスに対抗するために必要なホルモンですが、過剰に分泌されると、免疫力の低下や睡眠障害などを引き起こす可能性があります。
五月病は、うつ病と似た症状が現れるため、それぞれの違いを理解しておくことが重要です。
五月病は、特定の環境の変化がきっかけで発症し、そのストレス要因から解放されると症状が改善する傾向があります。原因を取り除けば自然と治癒していくようなイメージです。
一方、うつ病は、原因が特定できない場合もあり、環境が変わっても症状が持続することがあります。
五月病を放置するとうつ病に進行するリスクもあるため、早期の対応が重要です。
では、五月病になりやすい人は?
真面目で責任感が強い人、完璧主義な人は、五月病になりやすい傾向があります。これらの性格特性は、燃え尽き症候群(バーンアウト)にも共通しています。
燃え尽き症候群とは、長期間にわたる過度のストレスによって、精神的、身体的に疲弊した状態を指します。充電の切れたスマホのように、心身が動かなくなってしまうのです。
大きな目標を達成した後、燃え尽きてしまい、虚脱感や気分の落ち込みを感じることがあります。このような状態が、五月病のきっかけとなる可能性もあるのです。
五月病で現れやすい症状を具体的に見ていきましょう。ご自身の状態を確認し、適切な対応をするためにも、ぜひ参考にしてください。
精神的な症状:不安、イライラ、憂鬱感など
五月病の精神的な症状は、朝起きた瞬間から気分が重く、どんよりとした憂鬱感が一日中続きます。
また、新しい環境での人間関係や仕事内容に対する不安から、必要以上に心配してしまったり、些細なことでイライラしやすくなることもあります。感情のコントロールが難しくなるのです。
さらに、集中力が低下し、今まで簡単にこなせていた作業に時間がかかったり、ミスが増えたりすることもあります。
身体的な症状:倦怠感、食欲不振、睡眠障害など
精神的な症状だけでなく、慢性的な倦怠感や疲労感が現れ、鉛のように体が重く感じられるかもしれません。朝起き上がるのが辛く、一日中だるさが続くこともあります。
食欲不振に陥り、以前は美味しく感じていた食事が味気なく感じられたり、食べる量が減ってしまうケースもあるでしょう。
さらに、夜なかなか寝付けなかったり、眠りが浅く、何度も目が覚めてしまう、といった睡眠障害に悩まされる場合もあります。
行動の変化:遅刻、欠勤の増加、集中力の低下など
例えば、朝起きるのが辛くなり、遅刻や欠勤が増えてしまう、といったケースです。
仕事や勉強に対する集中力が低下し、ミスが増えたり、作業効率が落ちてしまうこともあります。
さらに、以前は楽しめていた趣味や活動への興味がなく、何をするにも億劫に感じてしまうこともあります。
五月病のセルフチェックリスト
以下の項目にいくつ当てはまるかチェックしてみましょう。
● 気分が落ち込む
● 何事にもやる気が出ない
● 疲れやすい
● 食欲がない
● 眠れない
● 集中できない
● イライラしやすい
● 趣味を楽しめない
● 将来に不安を感じる
● 以前は楽しめていたことに興味が持てない
重症度チェック:専門家への相談が必要なケース
セルフチェックの結果、多くの項目にチェックがついたり、症状が数週間以上続いている場合は、精神科医や心療内科医といった専門家への相談を検討しましょう。
特に、「死にたい」と考えてしまう、自傷行為をしてしまう、日常生活に著しい支障が出ている場合は、躊躇せずにすぐに精神科や心療内科を受診してください。
一人で抱え込まず、適切なサポートを受けることが、五月病を乗り越えるための第一歩です。
具体的な対策は、
生活習慣の改善:睡眠、食事、運動
当たり前でお決まりの、規則正しい生活習慣を維持することが重要です。私たちの心身もバランスの取れた生活習慣を必要としています。
まず睡眠は、心身の疲れを癒すために欠かせません。規則正しくある程度の睡眠時間を確保するようにしましょう。睡眠は日中のストレスや疲れを洗い流し、心身をリフレッシュさせてくれます。
食事は、バランス良く、特に、ビタミンB群やビタミンCは、ストレスへの抵抗力を高める効果があります。野菜や果物、魚などを積極的に摂り入れ、心身の健康を維持しましょう。栄養バランスの取れた食事は、心身にエネルギーを供給してくれるのです。
さらに運動も、ストレス発散に効果的です。軽いウォーキングやストレッチなど、無理なく続けられる運動を習慣にしましょう。
リラックス方法:趣味、休息、リフレッシュ
心身をリラックスさせる時間を作ることも、五月病対策として重要です。好きな音楽を聴いたり、映画を見たり、読書をしたり、アロマを香らせたり、様々な方法でリラックスできます。まるで、心のオアシスのように、心身をゆったりと休ませる時間を取り入れることで、ストレスを軽減し、心身のバランスを整えることができるのです。
休日は、しっかりと休息を取り、心身をリフレッシュさせましょう。趣味に没頭したり、旅行に出かけたり、自然の中で過ごしたりするのも良いでしょう。心身にエネルギーを蓄えることで、新たな活力を取り戻すことができるのです。
対処法:認知行動療法、カウンセリング
五月病の症状が重い場合や、なかなか改善しない時は、専門の医師 のサポートを受けることをおすすめします。認知行動療法は、ものの考え方や行動パターンを変えることで、ストレスへの対処能力を高める心理療法です。認知行動療法を通じて、ストレスにうまく対処できる「しなやかな心」を育てることができます。カウンセリングでは、専門家と話し合うことで、問題解決の糸口を見つけ、心の負担を軽減することができます。カウンセリングは心のモヤモヤや不安を取り除き、心を整理する手助けをしてくれるのです。
周囲のサポート:家族や友人の理解と協力
家族や友人、同僚など、周囲の理解と協力は、五月病を乗り越える上で大きな力になります。
自分の状況や気持ちを周囲に伝え、サポートをお願いしてみましょう。話を聞いてもらうだけでも、気持ちが楽になることがあります。また、周囲の人は、五月病に悩む人を温かく見守り、励ますことが大切です。まずは、誰かに話す。
再発予防:ストレスマネジメント、生活リズムの維持
五月病を一度乗り越えても、ぶり返す可能性はあります。
再発予防のためには、ストレスマネジメントと生活リズムの維持が重要です。ストレスをため込まない工夫をしたり、規則正しい生活を送ることで、心身のバランスを保ちましょう。自分にあったストレス発散方法を見つけ、日常生活に取り入れることが大切です。ストレスマネジメントは、心身の健康を維持するために不可欠なのです。
そして、最後に「はり灸」もおすすめ致します。
はり灸を受けながらそっと、自分のからだの声を聞けば、おのずと良い方向へ向くでしょう。
「はり灸」で自律神経を整え、首や肩腰のコリをほぐし、頭をスッキリさせて五月病から抜け出しましょう。
院 長