まもなく梅雨到来、ジメジメとした湿度の高い日々が続くこの時期は気圧の変動が激しく、多くの方が頭痛やだるさなどの体調不良を起こします。
これらの症状は「気象病」「天気痛」と呼ばれ、日常生活に大きな影響を与えることがあり、
低気圧による体調不良と、効果的な対処法についてご紹介します。
低気圧による体調不良の主な原因は、耳の奥にある「内耳」と自律神経の関係にあります。
内耳はセンサーのような役割をしており、気圧の変化を感知して脳の中枢にある自律神経に伝えます。
気圧が下がると外からの圧力が弱まり、体内から押し返す力の方が強くなるため、血管が膨張します。
通常なら自律神経がこれを調整しますが、内耳に通る神経(前庭神経)が過剰に興奮すると、自律神経
のバランスが乱れ、様々な不調が現れるのです。
東洋医学では、梅雨時期の体調不良は「水毒」と呼ばれる状態が関係しています。
水毒とは体内に水分が余っている状態のことで、水分がうまく発散されずに体内に滞ることで起こります。
雨の続く湿度の高い日は、体内でも過剰な水分を生む原因となり、体内の正常な水の巡りを乱してしまいます。
全身で水の停滞が発生することで倦怠感が、頭部への水の偏りで頭痛が、関節部への偏りで関節痛など
が起こるのです。
これらの症状は「気象病」や「天気痛」とも呼ばれ、気圧の変動や湿度の上昇によって引き起こされます。
特に気圧の変化が激しい梅雨前線の影響で、自律神経のバランスが崩れやすくなり、体調不良を感じる
人が増加します。
女性は男性の約3倍も多く症状を訴えるとされ、現代病の大きな要因となっています。
梅雨時期の低気圧による不調の中でも最も頻度が高いのが頭痛です。
特に片頭痛持ちの方は、気圧が下がると脳の血管が拡張し、硬膜に分布する三叉神経が刺激されて痛み
物質が放出されるメカニズムが働きます。
この症状は天気予報ができるほど気圧との関連性が強く、「雨が降る前から頭が痛くなる」という方が多
くいらっしゃいます。
めまいについても、耳の奥にある内耳が気圧の変化を敏感に感知することで生じ、自律神経の乱れを引
き起こす重要な要因となっています。
また、動画やゲームでスマホを長時間使用することによる「スマホ首」も頭痛やめまいの症状を悪化さ
せることが問題として注目されています。
梅雨時期に感じるだるさやむくみは、東洋医学では「水毒」と呼ばれ、体内に余分な水分が滞っている
状態を指し、雨の日の湿度が体内に入り込むことで水分代謝が鈍くなります。
この結果、足や顔などがむくんだり、体が重い、だるい、頭が働かないといった症状も引き起こしま
す。 また、気圧が低下することで自律神経のバランスが乱れ、副交感神経が優位になり、体が緩みすぎ
て活動性が低下し、血液循環も悪くなります。
これらの症状がある方は「湿気体質」の可能性があり、湿気によって体内に余分な水分が溜まりやす
く、体調不良を起こしやすい傾向があります。
この時期、胃腸の調子も崩れやすくなり、腹痛や下痢、食欲不振などの症状が多く見られます。
東洋医学では「長夏は脾を傷めやすい」という言い伝えがあり、ここでの「長夏」は梅雨時期を、「脾」
は胃腸を意味します。
つまり「梅雨時期は胃腸を傷めやすい」という意味で、胃腸の働きが弱まりやすい時期であることを昔
から感じていたのです。
高湿度と気圧の変動が消化器系に影響し、特に普段から胃腸が弱い方は症状が出やすくなります。
胃腸の不調は栄養吸収にも影響するため、全身の倦怠感や免疫力低下につながる可能性もあり、梅雨時
期の体調管理においては重要なポイントとなっています。
続いて精神面への影響もあります。
やる気が出ない、集中力や思考力の低下、気分の落ち込み、不安や焦りの増加、イライラ感など、様々
な精神的症状が現れることがあります。
特に午前中の気分の乗りにくさを感じる方や、人との交流を面倒に感じる方が増え、社会生活にも影響
を及ぼす場合があります。
また、日照時間の減少は脳内のセロトニン生成に影響し、気分の落ち込みを引き起こすことがあること
はよく知られています。
梅雨時期は外出機会が減ることで運動不足や社会的交流の減少も加わり、こころの管理が特に
重要になる時期といえるでしょう。
調査によると、日本人の3人に1人が梅雨時期の体調不良を経験し、特に50代女性では約7割が何らかの症
状を訴えていることがわかっています。
これらの不調の改善には、日々の生活習慣を見直すことで症状を大きく緩和できます。
特に自律神経のバランスを整える習慣を意識的に取り入れることが、梅雨の体調管理の鍵となります。
・朝日を浴びる
・規則正しい食生活
・適度な運動
そして、ツボ刺激です。
手首内側にある「内関」(ないかん)は、自律神経を整えるツボです。
正確な位置は、手首の横にあるシワから指3本分(約3cm)肘方向に進んだところの、2本の腱の間にあ
ります。指の腹を使って気持ちよい強さで5〜10秒間押し、3回程度繰り返しましょう。
続いて膝の内側にある「陰陵泉」(いんりょうせん)は、水毒を取り去るツボです。
膝のすねの内側にあります。
同じように、指の腹を使って気持ちよい強さで5~10秒間押し、3回程度繰り返しましょう。
「はり灸」で整えるのも近道ですよ!
院 長