「人間の進化」~ウイルスとの戦い~ 朝日新聞GLOBE記事より
人間が母親の胎内で子どもを育むのに欠かせない胎盤は、ウイルスなどが
外から運び入れた遺伝子によってつくられたことが、近年の研究でわかってきた。
進化の歴史の中で、ウイルスはどんな役割を果たしてきたのだろうか?
人の設計図の染色体の中に役に立たないとみられていたウイルスに似たDNAに
胎盤を作るのに必須の機能があることが分かったのだ。
それも、まだ恐竜が生きていた一億年以上前にウイルスなどによって取り込まれた
可能性を示していた。さらに、胎盤だけでなく脳や筋肉にも関係していることが、
わかっている。
人の遺伝情報は、1990年~2003年にかけて解読され、わかったのは、
人体を作るタンパク質を生み出すのに関わる部分は1.5%残りはよくわからない。
さらに、8%がウイルスなど外から入ったもので、ウイルスによって、病と同時に
進化がもたらされている。
ウイルスは、結核菌やコレラなどの細菌と違いとても小さな病原体で、なかなか
みつけられなかった。1898年オランダのベイエリンクが発見し、ラテン語で「毒」を
意味する「ウイルス」と名付けた。細菌と違い宿主の細胞がないと増殖できず生きられない。
なので、人や動物に感染していくしかない。
ただ、宿主側もやられっぱなしではなく、免疫という機能が備わっている。
ウイルスにはDNAとRNAとあり、やたらと生物に感染するわけではなく、感染するための
鍵穴(受容体)のあるものに選んで入り込むのである。
入り込んだ後には、遺伝子と細胞の働きを利用してタンパク質を作って増殖し、
また別の宿主に感染しようとする。
そんなウイルスを根絶しようと戦ってきたのだが、根絶できたのは天然痘のみ
その後、ポリオは3種類のうち2種類は何とかなっているが、麻疹(はしか)は
難しいようだ。そして今回の新型コロナウイルスはまず無理だろうといわれている。
そもそも、ウイルスが病気を引きおこすのは、ほんの一部であり、この地球上で数や多様性を
最も持つ生命体であり、人間の腸内細菌のバランスを変えたり、海の藻類を通じて気候の変動に
も影響を与えている。切っても切り離せないウイルスとの戦いが人間の進化に関わっている。
であれば、防戦一方にならないように「免疫力」をぜひ、はり灸で備えておきましょう!!